夏の暑い盛り、さっぱりと〆た新子は格別に美味しいです。新子→コハダ→コノシロと名が変わる出世魚ですが、江戸前ののお寿司屋さんでは小さいほうが粋とされています。小さいので下ろす時非常に手間がかかりますが、ひとつひとつ丁寧に手早く包丁を入れていきます。
江戸前寿司の伝統的な技法で〆ます。
スライスした冬瓜の上に新子を並べ、塩とかぼすでシンプルに味付けし、夏らしいお皿に仕上げました。
築地に通い始めて四年余り、蒔では江戸時代から続いている老舗「佃井」から魚介類を仕入れています。代用の利かない本物の魚介しか置いていない魚屋さんです。旬のもの、最高のものを常に追い求めるその姿勢から多くのものを学ばせてもらっています。
文化と呼ばれるものの中には、魚の目利きなど形にしづらい後世に残しにくいものもあるんだな、と感じています。言葉にしにくいのですが、淡くて儚いような、でも力強い文化を料理で表現していきたいです。