日本らしい秋の料理に”吹き寄せ”があります。
 
栗、しめじ、南瓜銀杏、人参、蓮根、牛蒡など、秋の素材にそれぞれ下味をつけ、煮たりあげたりして一皿に盛り付ける、楽しい料理です。紅葉の葉や、松の葉を飾ったりもします。銀杏の翡翠色や菊の花の黄色を少し加えるとよりきれいになります。
 
秋風に吹かれて吹き寄せられるように、ばらばらっと自然な感じで具材を散らすのがポイントで、あまりきちっとそろえてしまうと格好悪くなってしまいます。法則があるようなないような、こういう盛り付けの仕方は日本独自のもので、海外でほかの国の人たちと仕事をするとき、説明が難しいものでした。日本人同士なら「自然な感じで」で通じるのですが、、、。
 
この季節になると、魚介類もだんだんと脂がのってきてコクが出てきます。”旬の食材”は、夏はさっぱりしたものが多く、秋になるとこってりしたものが増えてきて、そのときで一番おいしく感じられるように、うまく出来ているようです。
赤かますは秋が旬です。開きになっている水カマスに比べ、どこか上品なすがたかたちをしています。皮目を炙って、お刺身で食べると抜群においしい。店では棒寿司にしています。
 
それから今年は天然のクエを使ったりもしています。”アラ”とも呼ばれる高級魚で、天然のものは大変貴重です。タイミングが合ったら皆さんに味わってもらえるとうれしいです。
 
紅葉はもう少し先ですが、食材を通して一足先に”秋”を満喫している毎日です。